韓国には古代中国の医学を独自に発展させた、韓医学が普及しています。「もともと韓方に興味があった」という小林さん。「韓国人のみなぎるパワーや熱気。その源流を、探りたいと考えていたのです」。そこで小林さんは、活気溢れるソウルの薬令市場に向かいました。
韓方を扱うお店が居並ぶ活気溢れる市場
薬令市は李氏朝鮮17代国王、孝宗王の時に王命で始まりました。朝鮮戦争の後、ソウル市民が食料を調達する場所として市も立つようになり、その西側一帯に韓方を扱うお店が軒を連ねます。韓方薬局、医院、薬草店…韓方に関するあらゆる情報やものが揃います。
お店の前には大きな箱や袋が置かれ、その中にはたくさんの生薬が。ナツメ、クコなど日本でもおなじみのものから、鹿の角、蛇、ムカデなど、珍しいものがたくさん。あたりに立ち込める生薬の匂いは、それだけで元気をもらえるようです。一般向けの販売店はありませんが、生薬の種類豊富な韓方店の店先を見て歩くのも楽しいもの。北側には生鮮食品を扱う市場もあり、お母さんたちが野菜や餅を買っている姿も見受けられます。韓国ならではの日常の活気を実感できる場所なのでした。
薬令市場内にある韓医薬博物館へ
薬令市場の一角。「えっ、ここに?」というような雑居ビルの地下に韓医薬博物館があります。韓国の伝統医学=韓医学がどのように成立してきたかなど、その歴史と文化をわかりやすく展示して、広く発信する博物館です。 韓医学は中国の医学、薬学を韓国の風土に合わせ発展させたもので、三国時代頃から始まり、李氏朝鮮時代に発展。その時代に編纂された韓国の医学書「東宝医鑑」(1661年)は、日本でも人気を博し、大きな影響を与えたと言います。 朝鮮時代の医院「普済院」の縮小模型、伝統的な医療器具、また500種類以上の韓方薬材を分類し、それぞれの起源や薬効を説明するなど、かなり掘り下げた展示が行われています。 「美容と東洋医学の関係を研究したいと思っていたから、この展示は興味深いわ」と、小林さんは一つ一つの展示を熱心に見て回ります。
スタッフの方に誘われて、生薬を粉末にする器具、 薬研でペパーミントを粉末にする体験にも挑戦!子供から大人まで、様々な体験ができるコーナーも充実していて、韓国の生薬文化の懐の深さを実感します。そして、楽しみながら、知的好奇心を大いに刺激された小林さんなのでした。
宮廷料理や街中の食堂で…「医食同源」を実体験
韓医学は自然治癒力を高めることを目的にした伝統医学。良い食べものは体の調和をはかる薬=「医食同源」という考え方が、庶民の間に根づいています。伝統的な韓国料理は料理の中に東洋の五行思想に基づいた五味五色が取り入れられ、緑黄色野菜、キムチ、唐辛子、ニンニクなどは、日常の食卓にも並びます。何でも体験することが信条の小林さんは、その料理を確かめようと、青瓦台の近くにある伝統的韓国料理の店「三清閣」へ。ここは韓国の伝統家屋を利用したレストランで、名だたるVIPが訪れる由緒正しいお店です。季節のお粥と水キムチ、牛刺しの生高麗人参添えなど、モダンで彩りも美しい韓国料理をコースで堪能しました。
また、 江南では参鶏湯の隠れた名店「ジホ漢方参鶏湯」で、高麗人参、栗、なつめなど美容に良い生薬がたくさん入った美容参鶏湯を味わいました。「韓国の食の豊かさは、理論や経験に裏付けられたもの。栄養分を取り入れ、血液を巡らせ、体を温め、細胞の隅々まで行き渡らせる。美容ではこれをデトックスと言いますが、韓国の人々は、食べることで生活の中でそれを自然に行っているのね」。小林さんが提唱する美容のあり方は、無理をせずに普通の暮らしに、少しずつ良いものを取り入れること。それで健康で、美しくあるのが一番だと言います。「医食同源」は、まさしく美容にも通じる考え方なのです。
旅の疲れを癒す、正官庄の紅参スパ
さて、過密スケジュールで韓国を旅した小林さん。紅参オイルや濃縮液を使ったフェイシャルトリートメントなどで、緊張した体をゆるめます。体の外側から紅参を取り入れ、心身をリラックスさせながら活性化を促し、体調を回復へと導くプログラムに定評があるのだとか。日本人観光客も多く、日本語が通じるから安心です。フットスパ〜頭皮マッサージ180分のRGコースを施術した小林さん。施術前は少々お疲れぎみだった様子でしたが、施術後にはいつもの小林さんに戻り、スタッフに別れを告げて一路空港へ。元気をさらにチャージして、帰路の途についたのでした。
韓国から帰国後。「あの濃厚な味が忘れられない」と、小林さんは早々に正官庄で紅参の抽出液を購入しました。「やっぱり本物は違うのよ」。そう話しながら、スタッフの橋本さんと韓国のお土産話に花を咲かせたのでした。
「韓方の歴史や韓国の食文化に触れて、高麗人参は歴史と伝統の中に根付き、現代に高められたものだと感じました。これからの未来は、西洋一辺倒ではなく、東洋のマインドが重要だということも再確認できる旅でしたね。正官庄の紅参は6年かけて育てた高麗人参を、それぞれのスタッフたちが、プライドと愛情をもって商品に磨きあげていくのです。そのストイックさに、驚きと感動を覚えました。韓国の人たちが、高麗人参を国の宝と表現して、大切にしているのもうなずけます。変わらずに良いものを作るためには、筋の通った企業姿勢を貫き通していく強さが必要なのですね。私が今回見たのは、ほんの一部。次回は、正官庄の本質とも言える高麗人参のものづくりの現場を訪ねたいと思います。どうぞお楽しみに。」