2月に韓国の忠清南道、扶余にある韓国人参公社の高麗人参廠を訪ねた小林さん。 そこでは高麗人参の神秘やダイナミックで先進的な工場を見学することができ、ますますその魅力に引き付けられたのでした。 正官庄では、厳格な審査をクリアした契約栽培農家が作る6年根の高麗人参しか使いません。例年9月〜11月初旬が、その収穫の最盛期です。 そして、小林さんはその6年根の収穫体験をするために再び韓国を訪れました。
家族、ご近所、町会長まで総出の収穫シーズン
ソウルから北に、車を走らせること2時間あまり。京畿道、漣川に到着しました。近くには北朝鮮との軍事境界線が通る、緊張感漂う場所です。 もともと高麗人参は、38度線側にある北の開城が有名な産地。昼夜の寒暖差が激しく、汚染の少ない清浄な地域であることが、理由の一つのようです。 畑では正官庄の優秀耕作者として毎年表彰を受けることが多いチェインハン(写真右)さんが、出迎えてくれました。チェさんのご両親は北側で高麗人参の耕作に従事していたと言います。 そんな影響もあってか漣川で農家を始めたとき、必然的に高麗人参を選んだそうです。「私には先代から受け継いだ、高麗人参を耕作するノウハウがありました」とチェさんは話します。 この日は、自身の畑の収穫がひと段落したので、友人のチョハンソンさんの畑の収穫の助っ人にやってきて、小林さんと合流しました。
小林さん、作業中の皆さんに混ざって収穫体験!
広大な畑に広がる畝の一つに、白い袋を持ったアジュマ達(おばさん)が規則的に整列しているのが見えます。小林さんは、この作業中のアジュマに混じって、身振り手振りでやり方を教わり、いよいよ収穫に参加です。 畝の上を大型トラクターが通ると、その下にある高麗人参が大量に掘り起こされていきます。大きさや形は様々。その中から形の良いものをスピーディに見極めて、土を拭ってから白い袋に集めてくのです。 小林さんも一つ一つを手に取り、丁寧に慈しむように6年根を袋に入れていきます。「トラクターで、どんどん高麗人参が送り出されて。その量の多さもびっくりしますが、その中に、あ、これ1等級だなと思うものがあって。 それが本当に全部、人の形をしているのです」。小林さんは、収穫の感想を話します。「人」の字により近いものが、1等級と2等級の条件です。
厳格な管理下のもとで、収穫が行われます
6年根は鮮度を保ったままを工場に送り出すため、収穫から出荷までの一連の作業はスピーディに行われます。 袋に入れられた6年根は、一箇所に集められ、こちらでも更に大きさ、形などを選別され、正官庄から支給されるという黄色のコンテナケースに収められていくのです。 正官庄の全社員はこの時期、部署に関係なく2週間収穫現場に派遣され、保安要員と共に収穫作業に立ち合うのだといいます。4年根や5年根が1本でも紛れ込んでいると、消費者の信頼を失ってしまうので、監督をするのだとか。 正官庄の6年根は購買値段が高く、契約していない農家などが不正を行う場合もあり、それを水際でシャットアウトするのです。「収穫の現場でも、それだけ厳格な管理が行われているのですね」と小林さんは驚きを隠せません。
収穫が終わると、次は等級仕分けへ
6年根がケースいっぱいに詰められると(1ケースは30㎏程度)。中身が区別できるようタグを付して、封印されます。18 ケース集まったら検品のために購買場へ運ばれるとのこと。 その日収穫したものは、すべてこの日中にやってしまわなければなりません。トラックは気ぜわしく、1日に何度も往復します。アジュマ達は和気あいあいと作業をしながらも、現場には、どことなく張り詰めた緊張感が漂っているのでした。
午前中のケース詰めがひと段落すると、作業の手を止めて、皆一緒にお昼ご飯の時間です。小林さんもご相伴に預かることになりました。