小林さんは収穫後の6年根のパッキングを見届けると、次は等級分けと検品の作業を見学するために、韓国内に7ケ所あるという正官庄の購買場の一つに向かいました。 取材前日は雨が降ったため、6年根の収穫が行われた場所はごくわずか。 そのため、限られた購買場にしか6年根が運ばれておらず、唯一その日等級分けが行われているという江原道、原州へ。 漣川の畑から、約2時間かけて高速道路をひた走り、その作業に立ち会うことができたのでした。
静かに運命の時を待つ6年根とその耕作者達
倉庫のように広い空間の中に、収穫の時に見た黄色のコンテナケースを積んだフォークリフトが、行き来しています。この日の作業は、これが最終だったので、少しガラーンとした印象。 しかし、正官庄の6年根収穫高は約1万t(2016年)あります。7カ所に分散されるとはいえ、この購買場が最盛期にどれほど活気付くのかは容易に想像ができます。 厳重な監督のもと、コンテナケースの封印が解かれると、辺りに芳しい高麗人参の香りが漂います。6年根が作業台に広げられると、さぁ等級分けが始まりました。 普段は関係者以外近づくこともままなりませんが、小林さんは作業台の近くに導かれて、その様子を至近距離で見学することができました。
長年のカンを頼りに迅速に目視で選別
システマテックに管理されている6年根ですが、姿、形、大きさなど、を見極める等級分けは人の手で行われています。前編で訪れた扶餘工場で見たのと同様、ここでもマエストロの技は健在です。 作業台に広げられた6年根の量は、約30㎏程度ありますが、ものすごいスピードで選別されて、寄り分けられていきます。前出のチェさんが話した通り「1等級、2等級は、人の形をしていないとなりません」。 後ろでは、耕作者の方々が心配そうにその様子を見つめています。小林さんは作業員に「これは1等級です」と立派な人型をした6年根を手渡され、その大きさや形などをチェックします。 他の作業員は、黙々と種分けしているのですが、一つずつ手に取るでもなく、完全に目視で、人の形とそうでないものを分け、その手を止めることはありません。耕作者の心配をよそに、あっという間に選別が終了しました。
一等級を手にした時、すべての苦労が報われる
仕分けされた6年根は、計量され買取価格が決定します。この耕作者が収穫した30㎏のうち、1等級に選別されたのは、わずか5本だけ。その買取額については、企業秘密とのこと!耕作者が、誇らしげにその一本を見せてくれました。 「満面の笑顔で、こちらまでハッピーな気分になりますね。6年間の苦労が喜びへ変わる瞬間に立ち会えました」と小林さん。
仕分け済みのコンテナケースは、すべてバーコードによって管理されています。これらは翌日、忠清南道、扶餘にある正官庄の製造工場に運ばれていくのだとか。 そこで超音波洗浄をして、蒸し、自然光と自然の風で15日間乾燥させ、整形、外形・組織などをさらに選別され、ようやく紅参として誕生。それが濃縮液や粉末になったりして、様々に製品化されるのです。 こうやって、高麗人参の長い旅路が、今終わりを迎えました。耕作者の方々と濃密な時間に、大満足の小林さんは、様々な思いを胸に帰路についたのでした。
「土を育て、種を蒔くことから始まり、10年という長い時間と手間をかけ、工場での加工を経てようやく紅参ができあがるのですね。工場では合理的で近代的なシステムを見学することができましたけれど、6年根の畑は、時代と共に改良されながらも、古の時代から変わらぬ営みのもとで、耕作者の方々が笑い、喜び、寂しがり…実に人間味溢れるドラマティックな環境があって。愛情をたっぷり注ぎ、丁寧に育てている姿を見ることができました。人も動物も植物も、生命あるものは皆同じですが、世話をするときの想いや感情は伝わり、関わる人の心が反映されます。愛情を持って育てれば、必ずそれに応えてくれるのです。そのような作り手の気持ちが、正官庄の6年根に宿っているのだと感じましたね。だからこそ、正官庄は信頼できるブランドなのです。今回の旅で、より一層その思いが強まりました」。